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2022年12月05日

『黄帝内経』①

『黄帝内経』①

『黄帝内経』の編纂年代と伝来、注釈書について

『黄帝内経』(こうていだいけい)は、現存する中国最古の医学書と言われている。『黄帝内経』という書名が初めて登場したのは、図書目録である『漢書・芸文志』であった。医学書として『黄帝内経』が記載されている。一般的な見解では、『黄帝内経』は前漢代の中後期に編纂されもので、『素問』(そもん)と『鍼経』(しんきょう)に分けられ、各9巻81篇、全162篇があったとされている。
しかし、前漢代の『黄帝内経』は散逸して現存しておらず、唐代の王冰(おうひょう)が欠本のある『張公秘本』を長い時間をかけて補修や注釈を加え、『素問』を編纂した。その後、『霊枢』の9巻本も散逸し、現在の『霊枢』は1155年に南宋の史崧が霊枢を新たに校訂し、24巻81篇として編纂したものが元になっている。
『素問』という書名が最初に登場したのは『傷寒雑病論』序である。また、『霊枢』はその中で『九巻』と呼ばれていた。そして『九巻』は晋代の皇甫謐の『鍼灸甲乙経』の序において『鍼経』と改名されたのち、唐代の王冰が『霊枢』と命名し、『素問』の序に記載した。

『黄帝内経』の注釈書はたくさん存在するが、その中でも代表的なものについていくつか挙げてみる。
①『黄帝内経太素』(略称『太素』たいそ)は唐代の楊上善が『黄帝内経』を注釈したものである。楊氏は「以類相従」という方法で、『素問』と『霊枢』の原文を以下のように細かく分類した。摂生、陰陽、人合、臓腑、経脈、腧穴、営衛気、身度、診候、証候、設方、九鍼、補瀉、傷寒、寒熱、邪論、風、気論、雑病の19種類である。そして各項目をより詳細に、その原文の下に注釈を書いた。この本は後世の学者が『内経』を研究する際に、非常に役立つ史料となっている。この『黄帝内経太素』は現在、日本の京都の仁和寺に所蔵されている。
②『黄帝内経素問』(唐代・王冰)
③『黄帝内経素問注証発微』及び『黄帝内経霊枢注証発微』(明代・馬蒔)
④『素問呉注証』(明代・呉崑)
⑤『類経』(明代・張介賓)
⑥『内経知要』(明代・李中梓)
⑦『黄帝内経霊枢集注』及び『黄帝内経霊枢集注』(清代・張志聡)
⑧『素問識』(そもんしき)及び『霊枢識』(れいすうしき)(日本・丹波元簡)

ちなみに、『漢書・芸文志』には、『内経』(18巻)の他に『外経』(37巻)が存在したと記録されているが、『外経』は現存せず、詳しいことはわかっていない。

(編集:李)